日露デザインスクール実習<ハバロフスク>
上木 翔太
Hokkaido University, School of Engineering, Bachelor 4
Period: 16 February 2019 ~ 25 February 2019
Host University: Pacific National University
2019年度基礎科目
皆さんこんにちは、そして初めまして。工学部都市地域デザイン学研究室修士1年の上木翔太と申します。この度、2020年2月末に実施されたRJE3プログラムの参加体験談の執筆依頼をお受けしましたので、参加学生代表としてできる限り本プログラムの魅力がお伝え出来ますよう体験談を綴りたいと思います。
2020年2月末といえば日本に新型コロナウイルスが蔓延し始めた時期です。本プログラムがあと少し遅ければ中止になっていたかもしれませんので、本当にタイミングが良かったと思います。空港では入国検査等が強化されており、少々不安を感じながらも皆細心の注意を払いながら無事入国しました。
まず、飛行機を出た瞬間、凍てつく寒さを感じました。積雪もありましたが、亜寒帯湿潤気候の札幌とは異なり量は少なく、もはや氷と呼ぶほうがふさわしいのではないかと感じている間に10日間お世話になる寮に到着しました。
寮は比較的きれいで快適でした。メゾネット型の居室は初体験でしたが居心地もよく、毎朝、朝日で紅に染まった空が部屋に入り込み、寒冷地の特徴の1つである壁厚の大きな窓から見えるそれは、まるで額縁に飾られた絵画を見ているようでした。
一面氷に覆われたアムール川
そしてフォーラムが始まりました。フォーラムは大きく2つのプログラムに分かれています。
1つ目は、個人の研究成果のプレゼンテーションです。私たちは、主に各々の取り組んできた研究論文を発表しました。
私は、コンパクトシティを進める北海道夕張市を事例とし、公共施設再編の方法論についての研究を発表しました。ロシアでは、まだ急激な人口減少に直面している都市は少なく、私の研究のリアリティが彼らに伝わりづらかったかもしれませんが、現在日本が直面している都市の課題と実際に進めている解決手法を自分なりに説得力を持って発表できたのではないかと思います。当日は様々な大学から多くの参加者が集い、多岐にわたる分野について非常に興味深いプレゼンテーションを聞くことができました。特に海外の学生のプレゼン力には圧倒され、今後の自分の課題が浮き彫りになりました。
2つ目はワークショップです。このワークショップは、各国の参加学生が混同した10名ほどのチームを組み、あるテーマに対してチームごとに成果物を出すというものです。毎年テーマが変わるそうですが、今年は「雪の結晶」からインスピレーションを受け、建築を提案するというものでした。コンセプトやアウトプットが決定しているチームが多い中、私たちのチームはまだ何も決まっておらず、はじめ焦りを感じました。しかし、積極的にデザインコンセプト案を出したことで私たち日本人学生の提案が採用され、それを皮切りに、他のメンバーも様々な表現方法を考えてくれたおかげで、見事グランプリを受賞することができました。提案が採用されたことは非常に嬉しく思いますが、それ以上にチームワークにおける役割分担や自分の意見を正確に伝えるといったコミュニケーションの重要さを学びました。
ウィンタースポーツ体験での1枚
このプログラムを通して私が最も魅力に感じたことは、「ロシアの空気感、人々の思想・行動を体感できたこと」です。皆さんの中には海外へ行ったことがある方は多いと思いますが、ロシアに行ったことがある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
北海道大学は日露国際交流を活発に行う日本有数の大学です。研究領域としてはもちろん様々な留学プログラムが用意され、留学生の受け入れも盛んに行っています。私の研究室にもロシア人学生が在籍しており、一緒に研究室活動を行っています。
グローバル化が一層進む日本において、海外留学はトレンドになってきていますが、ロシアへ留学する学生はあまり見かけません。北海道大学だからできること、実現できること。そのような点で、本プログラムは普段触れる機会が少ないロシアと自分との距離を縮め、新たな活動フィールドとしてロシアを認識させてくれる非常に魅力的なプログラムであると感じます。
以上、本プログラムの内容や魅力を私なりに書き連ねたのですが、まだまだ書き足りないほど充実した10日間でした。ぜひ、皆さんも本プログラムに参加して、「ロシア」を肌で体験してください。
最後になりますが、ロシア滞在中お世話になった現地の皆様、裏で様々な手配をして支えてくださったRJEプログラム担当の皆様、10日間引率していただいた先生方、そしてなにより一緒に10日間を過ごした参加学生の皆に心から感謝申し上げます。